ポートレート
オニヒトデの災難
オニヒトデほど理不尽な嫌われ方をしている海の生物はいないだろう。
その理由は4つあると思う。
まず1つ目はその容姿だろう。
トゲで体中が覆われ、それがうごめく様はほんと気持ち悪い。。。
綺麗なものは慈しみ、汚いものは排除する人間から嫌われるのも当然。
これはもう退治するしかないだろう。。。
2つ目はその和名。
「鬼」から連想するのは残虐非道なイメージ。
これはもう退治するしかないだろう。。。
3つ目は猛毒を持っているという事。
海の生き物には毒を持つものが多い。
それは自分の身を守るためであり、それなりの理由があってそのように進化してきたわけなのだが、これが人間からすると排除の十分な理由になってしまう。
これはもう退治するしかないだろう。。。
そして4つ目は人間から見た好感度が高い生き物を主な食物としている事だ。
オニヒトデはサンゴを好んで食べ、食べられたサンゴはもちろん死滅する。
これが多分、最も大きな理由だと思う。
僕らが愛すべき者が殺されたらさすがにその犯人は嫌われる。
これが逆だったらどうだろう?
サンゴがオニヒトデを捕食するとしたら逆に応援するに違いない。
人間にとってサンゴはイルカやウミガメなどと同様にとてもイメージの良い生き物のひとつだ。
死滅しそうになれば手を差し伸べるものが現れ、その勢力拡大に人間も協力的だ。
綺麗だし、商品価値もあるからだ。
オニヒトデとはまったく逆の境遇。。。
この両者が捕食関係にあれば、もちろん人間は綺麗でイメージの良いサンゴの側に立つのは当然だ。
これからも人間はサンゴの勢力拡大に力を貸していく。
人間にとって都合の良い理想的な生態系をつくるために。
注: 以上は当然、皮肉です。。。(^^;;
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個人的には、オニヒトデ駆除が良いか?悪いか?という議論はもともと存在しないものだと思っている。
なぜならオニヒトデに限らず、ある生物一種だけの駆除はそもそも不可能だからだ。(今の生態系を維持する事を前提とした場合)
例えば憎き蚊のいない空間をつくるために蚊を食べてくれるカエルを大量に導入したとする。
すると蚊のいない空間はつくられるが、餌のなくなったカエルも当然いなくなるに違いない。
カエルがいなくなれば、また当然、蚊は入り込んでくる。
生態系はすべてが繋がっている。
オニヒトデの駆除を「環境保護」だと勘違いして行なっている人が多いようだけど、それは全然関係ない。。。(苦笑)
人為的な「環境の改変」である可能性はあっても、「環境の保護」である可能性は多分、まったくない。
「サンゴの保護」になる可能性はあっても、「生態系の保護」になる可能性は多分、まったくない。
(個人的には結果的に「サンゴの保護」になっているのかどうかも微妙なところだと思う。。。(・_・;)
ただ。。。
果たして自分のフィールドにあるサンゴに大量のオニヒトデが乗っかっているのを見て、ガイドとして日々の糧を得ているサンゴが食い荒らされていくのを、黙って無視していられるかどうかは僕自身も自信はない。(^_^;)
それ(生態系の仕組みに従うこと)とこれとは別問題なのだ。。。
屋久島では幸いなことに今のところオニヒトデはめったに見られない生物だ。
しかし、いつの日か自分自身の”目の前だけの”利益のために(つまり人間の勝手で)オニヒトデを駆除しなければならない日がやって来るかもしれない。
それは間違ってもサンゴや環境、未来の子供たちのため(笑)、などでは断じてない。。。
不思議の国に迷い込んでしまった。 – He wandered into the fantastic wonderland.

クマノミの幼魚+ニチリンイソギンチャク / 一湊 -8m
南と北の境目

ハナヒゲウツボ Rhinomuraena quaesita / 一湊 -15m
「ウツボ」と聞くと大抵の人は怖くて気持ちの悪い海の生き物と感じている事であろう。
魚だという認識さえも無い人もいるかもしれない。
きっとこの長い体と大きく口を開けて威嚇する様がヘビを連想させ恐怖を感じるのだろう。
ところがウツボにもいろいろな種類がいて中には綺麗な可愛らしい子もいる。
その代表格がハナヒゲウツボだ。
その蛍光ブルーの美しい体色が暗い水中でよく映え、ダイバーの間でもとても人気のある種類だ。
しかも細くて華奢な体つきからは恐怖を感じることも無い。
このハナヒゲウツボは亜熱帯域を中心に分布する魚なのだが、他地域では決してその生息数は多くないようだ。
しかし、ここ屋久島での生息数はかなり多い。
幼魚から成魚まで様々な成長ステージが見られ、ごくごく普通に見られる魚だと言える。
逆に温帯域を中心に分布するトラウツボという種類がいるのだが、こちらはお隣・種子島では普通に見られるのだが、屋久島ではめったに見られないウツボとなる。
このように屋久島と種子島の間に温帯と亜熱帯の境目がある事を感じる例は多く、このハナヒゲウツボとトラウツボの関係はその代表的なものだ。
温帯と亜熱帯のちょうど中間にある島。
それが屋久島の海が持つ最大の特徴だ。
